戦闘機パイロットに必要な資質とは?向いている性格10選

こんにちは、Chakraです!

私は18歳で航空自衛隊に入り、戦闘機パイロットとしてF-15やF-35A、ブルーインパルスなど様々な任務に携わってきました。その中で感じたのは、パイロットとしての資質は戦闘機の操縦技術だけではなく、「人としての在り方・考え方」が重要だということです。

現場経験をもとに、戦闘機パイロットに向いている性格的な特徴を紹介しますね。

① 思い立ったらすぐ行動ができる

戦闘機パイロットの世界では、「あとでやろう」「誰かがやってくれるだろう」といった姿勢は通用しません。状況判断と即応性が命を左右する環境において、思い立ったら即行動に移せる人は、パイロットとして大きな信頼を得ることができます。

また、日常の訓練でも、自ら進んで準備に取りかかれる人ほど、周囲からの信頼も厚くなります。
「行動力の速さ」は、単なる性格の一面ではなく、パイロットに必要な資質の一つだと強く感じています。

② とにかく情熱と負けん気がある

どれだけ技量や知識があっても、「絶対に負けたくない」という気持ちがなければ、日々の訓練で自分を追い込み続けることはできません。訓練では、他の部隊と切磋琢磨することも多く、常に競争意識を持って自らを高めていく必要があります。

「負けたくない」という気持ちは、技術的な成長だけでなく、精神面の成長にもつながります。壁にぶつかったとき、失敗したとき、それでもなお立ち向かう強さが戦闘機パイロットには必要です。

私は204飛行隊で戦技競技会に出場した際、「絶対に勝つ、いや、負ける気がしねえ」という気迫を持って臨みました。その執念が、18年ぶりの優勝という結果の一因になったと思います。

情熱と負けん気は、パイロットとしての伸びしろを引き出す原動力です。

③ どこまでも自責の念で考えられる

戦闘機の世界では、些細なミスが大きな事故につながることがあります。だからこそ、「問題が起きたときはまず自分を省みる」姿勢が何よりも大切です。他責にせず、常に「自分にできることはなかったか」と考えることで、次につながる改善が生まれます。

この自責の姿勢は、仲間との信頼関係を築くうえでも非常に重要です。自分の非を認め、改善のために努力する人は、周囲からも信頼されます。逆に、責任を他人に押し付ける姿勢は、チームの士気を下げるどころか、誰も一緒に飛んでくれなくなります。

責任感と反省心は、技量以上に信頼されるパイロットを育てる土台だと思います。

④ どんなときも心を乱さない冷静さ

戦闘機の操縦では、急なトラブルや予想外の出来事がよく?起こります。そんなとき大切なのが、冷静に状況を見て、正しい判断と行動ができる力です。

私自身も、日々の訓練やスクランブル発進の中で、冷静な判断の大切さを何度も痛感してきました。最初から完璧にはできませんが、落ち着いて行動することは、自分だけでなく仲間や周囲の安全を守るうえで不可欠な力です。

⑤ 集中力と観察力で“今”を見逃さない

音速を超えるスピード、高いGの中で行われる戦闘機の操縦には、圧倒的な集中力が必要です。計器、燃料、天候、味方との位置関係、無線通信、敵の動き、そのすべてを同時に把握し、瞬時に判断する能力が問われます。

長時間にわたる飛行や訓練でも集中を持続させるためには、日頃の体調管理やメンタルケアなども重要な要素となります。

⑥ 成長を止めない。諦めずに挑み続ける力

戦闘機パイロットへの道のりは長く、決して平坦ではありません。基礎訓練から始まり、機種ごとの厳しい訓練、責任ある任務など、常に「次のステージ」が待っています。

どんなに辛くても「もっと上手くなりたい」という向上心と、失敗しても何度でも挑戦する粘り強さがなければ、長くこの世界ではやっていけません。

私自身、訓練中に壁にぶつかることも多くありました(いや、ぶつかりすぎて痛みも感じなくなっていたかもしれません笑)。
思うように操縦できない、先輩に勝てない、どうすれば…といった苦しい時期もありました。それでも、あきらめずに続けた先に見えた景色があったと思います。そうした経験が、今の自分の糧となっています。

⑦ 仲間を信じ、ルールを守る

戦闘機の任務は個人プレーではなく、常にチーム全体での連携と信頼が土台となっています。仲間と協力し、状況を俯瞰して判断する力、そして決められたルールを守る姿勢が不可欠です。それが欠けると、自分だけでなく仲間も危険にさらすことになります。

日々のブリーフィングやデブリーフィングでは、一緒に訓練する先輩や仲間たちと率直に意見を交わし、互いの強みや弱みを共有することで、より良い飛行につなげていました。

信頼関係が構築されてこそ、大胆な判断や緻密な連携が可能になると思います。

⑧ 正確性にこだわり、几帳面さを持つ

戦闘機の操作はすべてが正確さを求められます。私自身、いろいろな戦闘機パイロットを見てきましたが、空中戦がうまい人の特徴は「小さなことをおろそかにしない」タイプでした。

数ミリ単位の操縦ミスが命取りになる世界において、正確さと几帳面さは非常に重要です。

⑨ 臆病である

一見、戦闘機パイロットに「ビビり」は向いていないように思われるかもしれません。しかし実際には、「最悪のケースを常に想定し、それに備える。イケイケドンドンではなく、一歩立ち止まる勇気が必要」という意味での“ビビり”こそが、パイロットに必要な資質なのです。

慎重であることは、命を守る力です。無理な行動や根拠のない判断を避けるためには、ある程度の臆病さが必要です。

毎日同じことを繰り返したりすると、いつかは慣れてきます。そこに悪魔の手が差し伸べられるので、慎重に臆病に判断するといった、一見戦闘機パイロットとは真逆のような考え方が重要なのです。

⑩ 思いやりは、強さの証

パイロットとしての能力以上に、人間としての思いやりが部隊の絆を深め、安全な任務遂行に貢献します。整備員、同僚、後輩、先輩、上司、すべての関係者が一つのチームとして動くためには、相手の立場に立って考え、行動する心が欠かせません。

戦闘機の運用は、操縦士一人の力では成り立ちません。整備員の丁寧な仕事、指揮官の適切な判断、そして仲間のサポートがあってこそ、任務が成立します。そのことを理解し、常に「ありがとうございます」と伝える意識が大切です。


以上、私が戦闘機部隊を経験してきて、特に重要だと感じ、実践してきた事項です。

これまでの任務や訓練、海外での経験、そしてビジネスジェットへの転身も含めて、空の世界は常に新しい挑戦に満ちています。そしてそれを乗り越えるためには、ここで紹介したような性格的な強さや姿勢が不可欠だと強く感じています。

戦闘機パイロットを目指す方には、ぜひ技術や体力と同じくらい、自分の性格面にも目を向けてみてほしいと思います。そして、今の自分に足りない部分があるとしても、それを少しずつ育てていくことで、必ず空の道は開けてくるはずです。

どんなパイロットも最初は未熟です。しかし、正しい姿勢と努力をコツコツ積み重ねていけば、必ず一人前の戦闘機パイロットになれます。

そしてその先には、空でしか味わえない特別な景色と、仲間とのかけがえのない絆が待っています!

空の世界は本当に楽しいですよ!みなさん、パイロットになりましょう♪

コメント

  1. kayochan82 より:

    航空学生、防衛大学校を目指している若者に是非届いて欲しい記事ですね👍
    今は女性でも戦闘機にも数名乗っていらっしゃるし、輸送機その他でも活躍されているので、時々50年前に女性にも門戸が開かれていたら私もパイロット目指したかも、と思うことがあったのですが、記事を読んでいて「あー無理だわ」と感じる事多々😂
    地上からパイロットさんの活躍を見て無事を祈るだけにします。

    • Chakra より:

      コメントありがとうございます。
      今では女性の戦闘機パイロットが当たり前になってきましたね。
      すべてが出来るパイロットはなかなかいませんが、優秀と言われるパイロットを見ていると共通点が多々あります。
      私自身も日々精進せねば!